KiCadの導入
トランジスタ技術2017年10月号、プリント基板作りがテーマになっていて信号解析、ノイズ解析ツールをはじめとした色んなツールが紹介されていた。その中でも大きく取り上げられていたのがプリント基板 統合開発環境のKiCad。自分はDesignSparkの練習をしていたけれど、今ならまだ間に合うと考えKiCadに移行することにした。知り合いの話でも今はこっちが盛り上がってるらしい(TwitterでKiCadと入れて呟けばすぐに質問の回答が来るとか)。また、最大の理由は欧州原子核研究機構(CERN)が開発の協力している点。いくらなんでも格好良すぎる。
インストール
kicad.jpでは最新版が4.0.1だったけれど本家kicadでは4.0.7だった。安定版のバージョンを調べたりもしたが、そもそも今回はトラ技を見ながら導入しようと考えているため、トラ技付属の4.0.6をインストールすることにした。
触ってみる
トラ技のDVDを見ながら操作。コンポーネントとフットプリントが別々に管理されているのは嬉しい。DesignSparkではここが分かりにくくて一苦労だった。また特徴的な点としてKiCadは各エディタが独立しており、回路図エディタとプリント基板エディタの間はネットリストでデータをやり取りするらしい。結構簡単そうだったので、PCB Part Libraryなどの環境を整えて何か1枚作ってみようと思う。
自作ライブラリ作成(既存部品の流用)
まずはこれから。抵抗を箱型からギザギザにしたかったり、電源記号を好みの形状にしたかったりする。自作ライブラリ作成の注意点は、「デフォルトのライブラリ内に保存しても良いが、自作コンポーネント用のライブラリを作成してその中に自作したコンポーネントを保存する」ということ。デフォルトのライブラリはKiCadアップデート時に上書きされてしまうため、自分で追加した分消えてしまうらしい。詳しい手順は以下のサイトが詳しかった。
まずは既存部品を流用してコンポーネントを作ってみる。こうすることでコンポーネントプロパティのフットプリントフィルターなどの値もコピーされるため後々楽になるらしい。はじめに流用元の抵抗記号と電源記号を自作ライブラリに追加する。作業にあたって以下のサイトを参考にした。
ライブラリを作成する 及び 1個目の流用元部品を追加する
メニュー>ツール>コンポーネントライブラリエディタを起動する。
以下の「現在のライブラリから、エディタへコンポーネントを読み込む」アイコンから抵抗を選択。
忘れていたけど、左側のツールバーの単位系がインチ系になっていることを確認しておく。KiCadの標準ライブラリは全てインチ系で作成されているため、これから作るライブラリもインチ系で設計しないと、標準ライブラリと接続できなくなるらしい。
取り急ぎ自作ライブラリに読み込んだ抵抗を登録する。「新しいライブラリへ現在のコンポーネントを保存」よりmylibというライブラリを作成してそこに抵抗コンポーネントを保存する。
エディタからメニュー>設定>コンポーネントライブラリを選択。「追加」から先ほど作成したライブラリを選択。どうやら並びに優先順位があるらしいので、後で設定しておく。→これ、抵抗の場合は流用元の “device” よりも優先順位を上げないとシンボルが更新されなかった。“device” から抵抗を削除しても良いが、アップデートの度に復活するため自作ライブラリを最上位に上げておくことにする。
以上で自作ライブラリmylibに部品が1つ入った状態のライブラリが出来上がったことになる。
作成した自作ライブラリに2個目以降の流用元部品を追加する
続いてこのライブラリに電源記号を追加する(ここから、自作ライブラリ名をmylib→zisaku_library_deviceに変更している)。カレントディレクトリが上部に表示されていて、現在は“device”になっている。
「作業ライブラリの選択」アイコンからカレントディレクトリを“power”に変更する。続いて「現在のライブラリから、エディタへコンポーネントを読み込む」アイコンから+3.3Vを選択。
カレントディレクトリを自作ライブラリ“zisaku_library_device”に変更し、「現在のものから新規コンポーネントを作成」アイコンから電源記号をライブラリに登録する。以上で自作ライブラリに部品が2つ入った状態のライブラリが出来上がったことになる。3個目以降も同様の手順で追加できる。
部品を修正
先ほど自作ライブラリにコピーした抵抗をギザギザにする。カレントディレクトリを自作ライブラリ“zisaku_library_device”に変更し、「現在のライブラリから、エディタへコンポーネントを読み込む」アイコンから抵抗を選択。ゴミ箱カーソルに変更し、不要な線を削除。
メニュー>設定>コンポーネントライブラリエディタオプションからグリッドを2.0~10.0mil程度にする。線を引き終えたら、カレントディレクトリを自作ライブラリになっていることを確認して「ディスクに現在のライブラリを保存」アイコンから保存する。これで既存部品を流用したコンポーネントの作成は完了。
PCB Parts Libraryを使ってみる
最初の基板作成はあの有名な “USB-Blasterもどき” にしたい。そこでPCB Parts Libraryの練習として、MicrochipのPICマイコンPIC18F14K50-I/SOのコンポーネントデータを取り込んでみることにする。作ってる人は相当多いと思うので、既に登録されているとは思うけれど……。登録されていなかったら少し面倒。
PCB Parts LibraryでggってRSコンポーネンツのページにアクセス。トップベージにKiCad対応の旨が記載されていた。「セットアップ&部品の検索」をクリック。
「LIBRARY LOADERをダウンロード」をクリック。これはライブラリをダウンロードしたり管理したりするソフトらしい。
インストーラーの指示に従ってインストールを進める。アカウント登録後、利用が可能となった。ここからの手順はトラ技のDVDを参考にした。所望のPICがランクC3で登録されていた。
ダウンロード後、zipファイルのままLIBRARY LOADERの「Open EPW File」で取り込めば完了。この後、ライブラリ更新のため回路図CADのメニュー>設定>コンポーネントライブラリを開いてSamacSys_Partsを選択後、OKする必要があるらしい(自分の環境ではこれを行わなくても更新されていた)。
一応、KiCadを使用する準備は整った。